毎夏7月30日、町内最大のイベント「たけの海上花火大会」の夜。訪れる見物客たちの、もう一つの楽しみは、道すがらの家々に揺れる素朴で温かい灯りだ。この日から一週間、竹野の上・中・下町、西町、馬場町…ほぼすべての家の軒先にこの手づくり行灯が置かれ、辺りは一面、優しく美しい光であふれる…。「和みの灯」と呼ばれるその行灯は、今や竹野の夏を彩る風物詩となり、町を代表する工芸品となった―。
それは、平成16年、商工会主催の講習会から始まる。豊岡市駄坂に工房をもつ神尾しず子さんを講師に招き、皆で和紙の灯りづくりを学んだのがきっかけだ。今では自宅に工房までもつリーダー格の米田扶沙子さんは、女性部が灯り作りに取り組むことになった時の様子をこう振り返る。「あの時はもう無我夢中でした。なんせ見本が一つと、流木や桜の木が置いてあるだけでしたから。私たちは、枝を切って材料作りから始めたんです。」最初はヒモもしっかりとくくれないし、和紙も何をどこに貼ったらいいか分からない。2〜3日経つと、もうグラグラしたという。「でもねぇ、ボヤッとした光が何とも言えなかった。本当に心が落着き、癒されたんです。いっぺんにはまっちゃいましたね。」
和みの灯とは基本的に、流木や木の枝などをその形状を巧く利用しながら、麻紐やボンドで三角錐に組み上げ、それに様々な色、柄、風合の和紙を貼ったもの。だが、使う材料や形、大きさに決まりはない。自由なのだ。だから世の中に二つと同じものは出来ないし、基本さえマスターすれば次々と色んな発想が湧いてくる。「剪定した庭木をもらってくるんですよ。また自分たちで採りにも行きます。桜、南天、竹、黒竹、柿、かずら、つる、キウイの枝…みんな良い材料になりますよ。」と、女性部長の伊藤眞貴子さん。
今では、枝ぶりなどを見てその材料から出来上がりを想像できるという。たいへんな上達ぶりである。そうして上手になるにつれ、和紙にも段々こだわるようになり、高級なものを使うようになっていった。中には、何と一枚千円するものもある。また、和紙の代わりに布も使うようになった。古い浴衣の生地で仕上げた作品では、城崎町文芸館主催の「ゆかたリフォーム展」でグランプリを受賞している。そして、その名を一躍有名にしたのが「北前祭り」だ。北前館で、初めての大規模な展示・販売会を実施。これが、訪れた多くの来場者を魅了し、大好評を博したのである。
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