和みの灯(なごみのあかり)

◇商工会女性部
竹野町竹野1582-1  TEL.0796-47-1771
部長/伊藤眞貴子さん 
副部長/東 實千代さん・吉岡弥生さん
 
◇工房
竹野町竹野2457-5  TEL.0796-47-1763
米田扶沙子さん

毎夏7月30日、町内最大のイベント「たけの海上花火大会」の夜。訪れる見物客たちの、もう一つの楽しみは、道すがらの家々に揺れる素朴で温かい灯りだ。この日から一週間、竹野の上・中・下町、西町、馬場町…ほぼすべての家の軒先にこの手づくり行灯が置かれ、辺りは一面、優しく美しい光であふれる…。「和みの灯」と呼ばれるその行灯は、今や竹野の夏を彩る風物詩となり、町を代表する工芸品となった―。

それは、平成16年、商工会主催の講習会から始まる。豊岡市駄坂に工房をもつ神尾しず子さんを講師に招き、皆で和紙の灯りづくりを学んだのがきっかけだ。今では自宅に工房までもつリーダー格の米田扶沙子さんは、女性部が灯り作りに取り組むことになった時の様子をこう振り返る。「あの時はもう無我夢中でした。なんせ見本が一つと、流木や桜の木が置いてあるだけでしたから。私たちは、枝を切って材料作りから始めたんです。」最初はヒモもしっかりとくくれないし、和紙も何をどこに貼ったらいいか分からない。2〜3日経つと、もうグラグラしたという。「でもねぇ、ボヤッとした光が何とも言えなかった。本当に心が落着き、癒されたんです。いっぺんにはまっちゃいましたね。」

和みの灯とは基本的に、流木や木の枝などをその形状を巧く利用しながら、麻紐やボンドで三角錐に組み上げ、それに様々な色、柄、風合の和紙を貼ったもの。だが、使う材料や形、大きさに決まりはない。自由なのだ。だから世の中に二つと同じものは出来ないし、基本さえマスターすれば次々と色んな発想が湧いてくる。「剪定した庭木をもらってくるんですよ。また自分たちで採りにも行きます。桜、南天、竹、黒竹、柿、かずら、つる、キウイの枝…みんな良い材料になりますよ。」と、女性部長の伊藤眞貴子さん。

今では、枝ぶりなどを見てその材料から出来上がりを想像できるという。たいへんな上達ぶりである。そうして上手になるにつれ、和紙にも段々こだわるようになり、高級なものを使うようになっていった。中には、何と一枚千円するものもある。また、和紙の代わりに布も使うようになった。古い浴衣の生地で仕上げた作品では、城崎町文芸館主催の「ゆかたリフォーム展」でグランプリを受賞している。そして、その名を一躍有名にしたのが「北前祭り」だ。北前館で、初めての大規模な展示・販売会を実施。これが、訪れた多くの来場者を魅了し、大好評を博したのである。

こうして和みの灯は評判となり、その熱の高まりは全町へと広がってゆく。浜地区をはじめ各地域の婦人会などで、それぞれ作り方を指導していった。

今では、商工会女性部員をはじめ多くの町民が作れるようになり、竹野町内なら、どの家にも一つは和みの灯がある。この素朴な灯づくりは、町全体に普及したのだ。毎年7月6日、祇園さん(八坂神社)の祭りでも、上町区の氏子各家の庭先に和みの灯を灯すのが恒例となった。元部長の村中節子さんは言う。「私は、県の大会で体験発表をさせてもらったんです。県内の商工会から集まった大勢の人たちの前でね。」講評した、審査員の神戸新聞論説委員も、深い感銘を受け絶賛したという。和みの灯の評判は、県下全域にまで広まっていった…。

そんな女性部には、最近、講習や製作の依頼が増えてきた。但東町など、同じ商工会の女性部をはじめ、旅館・民宿、民間の工務店からも。また近くの「休暇村竹野海岸」では、希望があれば宿泊客にも教えている。最後に、米田さんの自宅を訪ねてみた。それぞれに表情豊かな多くの灯たちが所狭しと並んでいる。「もう、置くとこがなくて…でもね、今年の5月頃には向かいに工房兼ギャラリーが完成するんですよ。」非常に楽しみである。

素朴で優しく温かい…和みの灯は、まさに竹野のイメージそのもの。願わくば今後、観光客等によって全国にこの灯が広がり、たくさんの家の玄関を、ほんのりと、いつまでも照らし続けてほしい。