今も変わらぬ床瀬のスタンスが二つある。
一つ目は、客の顔を見てから打ち、二人前単位でゆがき、そしてゆがきたてを供すること。
二つ目は、お客さんと一緒に楽しむことだ。時間、空間、景観をゆっくりと。「ゆっくり」が一番のごちそうだと床瀬の人々は考える。
今は蕎麦を待つ間に食べるごちそうも盛りだくさん。鶏の松葉や生椎茸の炭火焼、ヤマメの塩焼、ワサビの葉漬やワラビなどの山菜料理、大根の煮付けなどの田舎料理。
そして顔なじみの客との楽しい会話。常連さんの多い床瀬では、何も言わなくても、この流儀ともいえる楽しみ方をわきまえた人が多い。
決して焦らず急がず、ゆっくりと村全体を味わう。
床瀬のそばを美味しくいただくために一番必要なのは、ひょっとして懐の広さなのかもしれない。 |