(有)安田商店

◇竹野町竹野
TEL.0796-47-1459
◇代表
安田光男さん

豊岡、但馬魚市場。ここで、目利きの厳しいバイヤーたちが好んで、あるいは競うように買い求める干物がある。

豊岡のお店で得たその評判は、バイヤーたちによって広がり、今では遠く福知山、篠山の各店にも。
また、遠くは神戸市灘区の住吉にまで及ぶ。

「カネヤス」の屋号で知られる、その干物を作っているのが安田商店である。主力商品はエテカレイとハタハタ。
それに、ニギス(沖キス)やスルメイカなど。
スーパー側は「竹野産」というシールを貼り、他メーカーの商品とは一線を画し、差別化して販売している。

そう、「竹野産」はブランド品なのだ。
こだわりの分、少し高い。なのによく売れるのは、消費者に支持されている証拠。安田商店の高品質な魚は、今や完全に市場に認知されている。
安田光男さんは昭和43年に漁協に入組、お父さんお兄さんと同じ道を歩み始める。昭和55年に(有)安田商店を設立。当初は、鮮魚の仲買と行商を行なっていた。つらい時期もあった。他の大きな市場に竹野が呑み込まれそうになった時も、自ら高値で買支え、竹野の魚を守った。
「竹野の漁師さんは扱いが違うんですよ。
だから、他とは一緒にして欲しくない。」
安田さんは、そう説明する。

時流に流されず、着実に現在の竹野ブランドを築いてきた。
昭和60年、現在の加工業に転換。魚を知り尽くした加工屋が作る一夜干は、珠玉の光を放つ。
そのこだわりの数々を安田さんに聞いてみた。
まず、山陰沖の地物しか使わないこと。そして鮮度。竹野港の夕方の市で入荷した魚なら、翌日加工し明後日に干し上げることも可能だ。
また、小さなハタハタでさえ完全に、その内臓を取去る技術。干し方にもこだわる。7〜8時間かけて水分を約25%カット、いわゆる中干しから上干しだ。だから、店頭に並んだ同社の製品には、パック内にマットがない。ドリップが出ないので必要ないのである。

奇をてらった塩を使うメーカーが多い中、安田さんは天日塩にこだわる。豊富なミネラルを含み、持味を一番引き出してくれるのだという。
果ては冷凍する温度、冷凍庫の開け閉めの頻度にまで気を使う。温和な物腰と優しい風貌。
だが、一たび魚の話になると、とても厳しい顔で熱っぽく語る安田さん。竹野産の魚は町の誇り。安田さんのようなこだわりがある限り、それは今後も、他の追随を許さないだろう。